貴重品だったガラスビン
リターナブルびん
一升びん、牛乳びん、ビールびんに代表される「びん」で、保証金制度があるビールびんは99%、一升びんは88%が回収され再使用(回収、洗浄、充填、出荷)されている。リターナブルびんに関しては、包装容器リサイクル法の施行とは関係なく実施されてきた歴史的背景があります。物資の乏しかった戦前、戦後のガラスびんは貴重品で、この時代はびんとしての機能が満たされていれば充分で、現在のように商品の数だけびんの種類があるような時代ではありませんでした。
ビールびんもアルミ缶が、一升びん、牛乳びんも紙パックに、びんメーカーとしても軽くて丈夫な商品開発に努力していますが、時流には逆らえないジレンマを感じているところです。しかし、日本酒や焼酎も既に紙パックやペットボトルもありますが「やはり一升びんでしょう」、品質保持、意匠での差別化、高級感など本物志向が姿を消すことはありませんので、完全に取って代わることはないでしょう。
カレットの品質向上が
ワンウェイびん
前述で商品の数だけガラスびんの種類があると申し上げましたが、市場においてはワンウェイ化がどんどん進み、それにつけ色ガラスやクリスタルガラスなど分別回収の徹底は容易ではありません。ワンウェイびんは分別回収され、カレットとしてガラスの原料になりますが、カレットになる前の分別は自治体によりバラツキがあり、再商品化の品質保持に大きく影響します。現状のカレットの品質をバージン原料と同等の品質に引き上げるには、自治体における分別基準の徹底に期待するしかないですが、それには人、設備に税金を投入することになります。
分別基準の周知徹底を
リサイクル法の趣旨は、ごみ問題を解決し、限りある資源に対する配慮、カレット使用によりCO2の削減により地球温暖化を防止することに繋がるということですから、消費者レベルで分別基準が周知徹底されることが、国民の血税が使われないで済むということになります。
カレットの利用率83.3%に大幅上昇?(容器包装リサイクル法が施行により)
平成9年に容器包装リサイクル法が施行され、国民の意識も高まり、市区町村の分別収集の取組も平成14年には、2,795市区町村(86%強)が実施している。平成9年の施行時は67.4%の利用率ですから、平成14年のカレットの利用率83.3%の数字をみると大幅に上昇した感があるが、利用量で見ると横ばいからやや下降気味である。それには、下記グラフが示すとおり、ガラスびんの生産量が毎年下降線を辿っているため、率としては上昇しているのが分かります。
カレットは再び「びん」の原料に
製びんのカレット使用率が平成14年は83.3%ですから、原材料のソーダ灰、石灰、珪酸から作られる「びん」は16.7%と云うことになります。83.3%のカレットの内訳は、市中回収のカレットと、製びん工場で発生したカレットがあり、品質管理の厳しい日本においては、検査工程で不良品として除去されカレット化したものが28%になるとのこと、一方フランスにおけるカレット使用率は92%で、市中回収カレットは84%、工場内カレット発生率はわずか9%ですから、いかに日本が品質にこだわるかが分かると同時に工場内で発生するカレットは(28%)、作っては壊し作っては壊しを繰り返しているようで、「限りある資源を大切に」の精神とは少し反れているようで、もう少し製品に対しても、容認の範囲が広がればと期待するところです。