Contents
プラスチックの分類と樹脂特性
プラスチックの基礎分類
プラスチックの種類は、普通「★熱可塑性プラスチック」と「★熱硬化性プラスチック」の二つに分けられるが、これは熱を加えたときの性質によって分類したもので、それ以外に、以下に示すような結晶性か非晶性か、重合方式、原料、分子構造、天然か合成か、等々の分類がある。
1.熱可塑性プラスチック
A.非結晶性プラスチック PS、SAN(AS)、ABS、PC、PMMA、PVC 他
B.結晶性プラスチック PE、PP、PA、PMO、PTFE、PETP 他
2.熱硬化性プラスチック
PF、UF、MF、UP、SI、EP 他
熱可塑性プラスチック
加熱により溶融し、冷却するともとの固体にもどる性質(熱可塑性)を示す樹脂のことで、溶解性や熱可塑性を利用して容易に成形することができる。
熱硬化性プラスチック
低分子量で液体、粘稠なペーストまたは低融点の固体が硬化することにより不溶、不融性の三次元高子になる。 成形は硬化前の樹脂を硬化させると同時に成形する。
非晶性プラスチック
分子の配列に規則性がない。
結晶性プラスチック
分子が規則的に配列した比較的結合の強い部分と軟らかい非晶性の部分が結ばれている。
高分子化合物において、原子や分子が規則正しく配列した状態を「結晶」といい、プラスチックは多少なりとも結晶性をもち、ポリ塩化ビニール(PVC)のように結晶性の低いものでも20%程度の結晶部分がある。
(参考:天然ゴムは、結晶部分の全くないもつれあった集合体で、一方、繊維になるとプラスチックよりも結晶度が高く、ナイロンでは最高70%、セルロースでは90%にも達する。)
主要プラスチックの略号・名称
略号 | 一般名称 | 通称等 |
---|---|---|
PP | ポリプロピレン | ピーピー |
HDPE | 高密度ポリエチレン | ハイデン・ポリエチ |
LDPE | 低密度ポリエチレン | ローデン・ポリエチ |
LLDPE | 低密度ポリエチレン | リニア・ポリエチ |
PS | ポリスチレン | スチレン・ポリスチ |
FS | 発泡ポリスチレン | 発泡スチロール |
EPS | 発泡ポリスチレン | フォームポリスチレン |
PA | ポリアミド・ナイロン | ナイロン |
PET | ポリエチレンテレフタレート | ペット |
EVA | エチレン酢酸ビニール | エバ・イーブイエー |
PVC | ポリ塩化ビニール | 塩ビ |
PVDC | ポリ塩化ビニリデン | サラン |
MF | メラミン樹脂 | メラミン |
PF | フェノール樹脂 | ベークライト |
UF | ユリア樹脂 | ユリア |
プラスチックの用途
樹脂名 | 用途 | |
---|---|---|
ポリエチレン(PE) | [低密度PE]食品、飲料、薬品容器、包装用フィルム、電線被覆、日用品、玩具 | [高密度PE]買物袋、ゴミ袋、洗剤容器、上水道パイプ、ガス管 |
ポリプロピレン(PP) | 食品包装用 フィルム、食品包装用フィルム、食器類、薄肉のカップ類、洗濯機の洗濯槽、コンテナ、衣装箱、椅子、自動車の内外装部品 | |
ポリ塩化 ビニル(PVC) | [硬質PVC]農業、上下水道、電線管用パイプ、雨桶、波板、窓枠などの建材用フィルム、パイプ継手、バルブ | [軟質PVC]食品包装、床材、壁材、農業、ホース |
ポリスチレン(PS) | 食品用透明 容器(HIPS)テレビ、冷蔵庫、洗濯機、エアコンなど大型機種の部品、断熱材、コンテナ | |
ポリカーボネート(PC) | パソコン、 プリンタ、ファクシミリ、携帯電話などのハウジング、CD、DVDなどの光ディスク、自動車のヘッドランプレンズ、メータ板、カーポート、屋根の波板、防 音壁などの建材 | |
アクリロニトリル ・ブタジェンスチレン(ABS) |
パソコン、プリンタ、ファクシミリのハウジング、冷蔵庫、エアコン、掃除機のハウジング、ゲーム機、 玩具、スポーツ、レジャー用品 | |
ポリアミド(ナイロン)(PA) | 機械の摺動部品(軸受け、ギヤ、カム類など)ファスナー、ボルト |
各プラスチックの樹脂特性
樹脂名 | 略語 | 耐酸性 | 耐アルカリ性 | 耐油性 | 耐アルコール性 | ガスバリア性 | 透明性 | 耐熱温度 | 樹脂の特性 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
ポリエチレン | PE | ○ | ○ | △ | △ | × | × | 50C° ~70C° |
耐薬品性・耐水性に優れる。 |
ポリプロピレン | PP | ○ | ○ | ○ | ○ | △ | △ | 90C° ~110C° |
耐熱性に優れる。 |
塩化ビニール | PVC | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | 40C° ~60C° |
耐薬品性・難燃性に優れ、艶・光沢がある |
BAREX (バレックス) |
PAN | ○ | ○ | ○ | ○ | ◎ | ○ | 40C° ~60C° |
耐薬品性・ガスバリア性に優れる。 |
ポリカーボネート | PC | △ | × | ○ | ○ | ○ | ○ | 100C° ~120C° |
耐衝撃・耐熱性に優れる。 |
ポリエチレン テレフタレート |
PET | △ | △ | ○ | ○ | ○ | ◎ | 40C° ~60C° |
ガスバリア性に優れ、透明度と光沢がある。 |
アクリルニトル スチレン |
AS | ○ | ○ | ○ | × | △ | ○ | 70C° ~90C° |
衝撃性・耐薬品性・耐油性に優れる。 |
ポリスチレン | PS | △ | △ | × | × | × | ◎ | 60C° ~80C° |
透明度と光沢に優れる。耐薬品性・耐油性に劣る。 |
ABS樹脂 | ABS | ○ | ○ | ○ | × | × | ○ | 70C° ~100C° |
耐衝撃性に優れ、弾力性があり、割れにくい。加飾性が優れている。 |
アクリル樹脂 | PMMA | ○ | ○ | ○ | × | △ | ◎ | 70C° ~90C° |
引張強さ、耐衝撃性・耐候性に優れ、透明度は樹脂の中でトップクラス。 |
ポリアセタール | POM | △ | ○ | ○ | ○ | ◎ | × | 80C° ~120C° |
白色、不透明で耐衝撃性に優れ、耐摩耗性が良い。 |
ポリシクロヘキサンジメチレン テレフタレート・ イソフタレート 共重合樹脂 |
PCTA | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ◎ | 80C° ~100C° |
耐熱性・耐衝撃性に優れ、透明度と光沢がある。 |
スチレン・ アクリルニトル 共重合樹脂 |
SAN | ○ | ○ | ○ | × | △ | ◎ | 70C° ~90C° |
引張強さ、衝撃強さ、耐候性に優れ、表面硬度も高いので傷つきにくい。 |
スチレン・ブタジエン 共重合樹脂 |
SB | × | × | △ | △ | △ | ◎ | 80C° ~100C° |
透明度と光沢に優れる。 |
ガラス | GLASS | ○ | △ | ○ | ○ | ○ | ◎ | 120C° ~150C° |
耐薬品性・耐水性、透明度と光沢に優れる。 |
PBT (ブラシ穂先) |
PBT | - | - | - | - | - | - | 60C° ~140C° |
耐薬性・耐久性に優れる。太さ、テーパー位置、形状、表面、着色など開発が進む合成繊維。 |
ニトリルゴム (合成ゴム) |
NBR | - | - | - | - | - | - | 130C° | ファンデーションのつきや伸びに優れ、柔軟性・耐久性・肌への密着度等、バランスのとれた素材。 |
天然ゴム | NR | - | - | - | - | - | - | 120C° | 天然素材なので、肌への負担が少ないのが特徴。 安価で油性分に弱く、使い捨てものが主流。 |
ルビセル (湿式ウレタン) |
ルビセル | - | - | - | - | - | - | 120C° | 化学特性値が高く、感触が良く肌当たりがソフトなのが特徴。 |